膀胱炎、尿路感染に五淋散(ごりんさん)

漢方事典

「五淋散は膀胱炎によく使われます」

処方のポイント

利尿作用の茯苓・車前子・沢瀉・木通・解熱作用の滑石・山梔子・黄芩・血液を補強する地黄・当帰・芍薬、消化器を保護する甘草で構成されます。炎症を抑え小便を通す作用があり、膀胱炎、尿路感染に適応します。排尿時痛、尿のにごり、血尿等の症状にも応用できます。甘苦味です。

五淋散が適応となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

頻尿、排尿痛、残尿感。

漢方的適応病態

熱淋。すなわち、強い尿路の炎症を伴う病態に対して、茯苓、沢瀉、車前子、滑石、木通による利尿作用と、沢瀉、車前子、滑石、木通による抗菌、消炎作用などによりその改善を目指す薬方です。

五淋散の組成や効能について

組成

赤茯苓6車前子6木通3滑石5沢瀉5山梔子6黄芩6当帰5赤芍薬6生地黄5生甘草3

効能

清熱凉血・利水通淋

主治

血熱・膀胱湿熱

〇清熱涼血:清熱法を用いて血分の熱邪を除去する治法である血熱の病証に用います。

〇利水通淋:水邪を利することによって、淋証に対処する治法です。

〇血熱:血分に熱があることをいいます。

〇膀胱湿熱:湿熱の邪気が膀胱に侵入することによって生じる病証です。

解説

五淋散は『和剤局方』に記載されている「五淋散」に、生地黄、車前子、木通、滑石、沢瀉、黄芩を加味した処方で、淋証(頻尿、排尿痛、尿がしたたって切れが悪い症状)の治療に用いられています。

淋証は主に次のように分類されます。

〇熱淋ー熱感があり、急性の場合が多い

〇膏淋ー尿が濁っている

〇石淋ー石・砂が混合し排尿痛をともなう

〇血淋ー血尿が出る

〇労淋ー疲労すると発症する

適応症状

◇小便淋瀝

尿の切れが悪く、残尿感がある症状を示します。粘滞の性質をもつ湿邪が熱邪と一緒に下焦にこもって、水路を塞ぐことによって発症します。

◇排尿痛

湿熱が停滞して「不通則痛」となり、痛みが現れる。排尿時に灼熱感をともなうことがあります。

◇頻尿

「熱は急を主る」ので、熱邪が盛んであると排尿の回数は頻繁になります。

◇血尿

熱邪が血分に侵入すると血熱、(熱邪が血を脈外へ押し出す)して、出血の症状がみられます。

◇舌紅・苔黄膩

体内に熱邪があるので紅舌と黄苔がみられ、湿邪を示す膩を帯びます。

◇脈滑数

湿邪を示す滑脈と、熱邪を示す数脈が現れます。

五淋散には利水・清熱・活血・凉血の作用があるが、利水通淋作用が主です。赤茯苓、車前子、木通、滑石、沢瀉は利水滲湿薬に属し、湿熱による淋証に用いることが多いです。中でも赤茯苓は茯苓と異なり清熱作用も兼ね備えているので、湿熱による淋証に用いられることが多いです。車前子と沢瀉は利水作用に優れ一般的な水湿停滞にもよく使われます。木通は通の力が強く、特に尿がスッキリと出ないときに用いることが多いです。滑石は尿路結石による排尿困難に多く用いられます。山梔子と黄芩は清熱薬に属し、熱邪を除去します。山梔子には利水作用もあり、熱邪を尿によって体外へ排除します。当帰、赤芍薬、生地黄は血分薬で、涼血活血します。血熱を清して血尿を治療します。

臨床応用

◇淋証

淋証の諸症状を治療することができ、特に血淋と熱淋に用いることが多いです。急性・慢性膀胱炎、腎盂腎炎の軽症などに適しています。

血分薬が配合されているので、その活血作用を利用して、月経期間中に頻尿残尿感など膀胱症状がおこりやすい人にも用いることができます。

また、「子淋」(妊娠時の淋証)の処方でもあり、妊娠中の膀胱炎に用いられます。

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