貧血気味の方が確認すべき8種の漢方と食事療法

新陳代謝症状

赤血球喪失の原因はさまざまです

貧血というのは、血液の総量が少ないことではなく、血液中の赤血球、または赤血球の中の血色素(ヘモグロビン)が失われることです。健康な人の赤血球数は、ふつう血液一ミリ立方の中に四五〇万から五〇〇万ありますが、三〇〇万以下になると病的状態です。

なお、俗に「貧血を起こした」という場合の貧血は、脳貧血であって、貧血症とは別のものです。脳貧血は、血液そのものに異常はなく、脳への血行が妨げられて起きるものです。ただし、貧血症の人は脳貧血を起こしやすいです。

貧血気味の方の症状

貧血は、かなり高度のものにならないと、検査をしないで診断することがむずかしいです。というのも、訴えが全身におよぶからです。

たとえば、からだがだるい・疲れる・考えがまとまらない・むやみに眠いといった症状があるかと思えば、めまい・動悸・息切れ・耳鳴り・頭痛・ 肩こり・視力減退などの動脈硬化症的なものもあらわれます。ときには、熱が出たり、げっぷ・しゃっくり・悪心・あくびが出たりします。手足は冷え、尿量は増加しますが、軽度のむくみがあらわれることもあります。顔色は一般的に青白くなります。

原因

いちばん多いのが、ヘモグロビン(鉄分を含んだ一種のタンパク質)の不足です。食事中の鉄分が不足するか、消化管からの鉄分の吸収がわるいために起こり、それを鉄欠乏性貧血、または低色素性貧血と言います。消化管からの吸収がわるいものは妊娠時に多いです。それは胎盤をつくるためと、胎児の成長のために母胎から多くの鉄分が失われるからです。

次に、妊娠、梅毒や寄生虫などによって起こる悪性貧血というのがあります。赤血球をつくる物質(ビタミンB12や、胃壁粘膜から分泌される一種の酵素である抗貧血物質)が不足するもので、視力障害や胃腸障害を起こし、慢性的な下痢や低酸症、無酸症をともないます。この貧血は進行性で、放っておくとだんだん悪化し、重体におちいます。

3番目は、赤血球をつくる機能(骨髄)の障害で、再生不良性貧血、または無形成貧血といいます。これは、ベンゾール・砒素(ひそ)・水銀などによる薬物中毒、先天梅毒、寄生虫、レントゲン線などの放射能、慢性病による長期の栄養障害などによるもので、輸血を行わなければならない重い症状です。いわゆる原爆症がこれです。第四に、脾臓の故障によって起きる溶血性貧血があります。脾臓は古くなった赤血球を分解し、まだ使える材料はふたたび骨髄のほうにもどす役目をもっていますが、ここに異常が起こると、新しい赤 血球まで分解してしまいます。先にあげた症状のほかに、黄疸(おうだん)があらわれるのが特徴です。

そのほか、けがや手術による出血·痔·女性の生理・胃かいよう・ガンなどの慢性出血、あるいは尿毒症や白血病も貧血の原因になります。

漢方では血虚を補う十全大補湯(じゅううぜんたいほとう)

漢方では、貧血のことを血虚・黄胖(おうはん)・神気不足などといい、瘀血症(前述参照)のひとつです。昔から貧血に悩む人は多かったようで、漢方で悪性貧血や再生不良性貧血を治癒させた例は少なくないですが、家庭で素人が行うものは、鉄欠乏性のものに限るべきでしょう。

貧血気味に効く漢方薬8種

四物湯(しもつとう)

軽い貧血に用います。ただし、胃腸障害があるときは使わないほうがよいです。この処方には地黄(じおう)(アカヤジオウの根)が入っていて、これが造血剤の効果をもちます。

当帰芍薬散

昔から補血の効があるといわれ、一般的に貧血に用いられます。ただし、貧血が強度で、胃腸障害があり、下痢・嘔吐するものは不可です。

十全大補湯

全身的に衰弱し、口が乾き、ちょっと眠っても口を湿らさなければ舌がまわらないようなものによいです。便秘していてもよいです。この処方のネーミングの十全というのは、十種の生薬が配合されているのと「すべてにゆきとどく」という意を重ねて暗示しており、また大補は「虚を大いに補う」ということですが、とくに血虛を補う補血強壮の効で知られています。

炙甘草湯

貧血のために、少し動くと動悸・息切れがし、脈が速く、あるいは結滞するものに。

三黄瀉心湯

失血性のもので、なお出血の傾向があり、のぼせ性で、不安感・興奮があるとき。

黄連解毒湯

上の症状で、便秘がない場合に。

芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)

失恤性のもので、なお出血の傾向があり、冷え症の人に。出血の色は暗黒が目標です。

加味帰脾湯(かみきひとう)

冷えて、イライラするような不眠・ものわすれ・動悸があって、やや熱っぽいものに効きます。病後の衰弱・精神的過労があってもよいです。この処方名の「脾に帰る」というのは、消化器官を元どおりにするという意味ですが、脾臓が赤血球を再生する器官であることを考えると、その命名はきわめて暗示的です。

食事療法が決め手

貧血とひと口にいっても、先にあげたようなさまざまな原因があるので、現代医学の治療はこれまたさまざまになります。しかし、共通していえるのは、食事療法を重視することです。鉄分とタンパク質を多く含む食品をとることが大切です。とくに鉄欠乏性貧血では、食事から鉄分を補うほうが、薬に頼るよりはるかによいです。

鉄分を含む食品は、レバー、バター、卵黄、肉類やにんじん、ほうれん草などの緑黄色野菜です。中でも、牛のレバーは解毒作用をもち、血液をつくるのに必要な要素をほとんど備えています。現代医学でも肝臓療法といって、生のレバーを!一日一五〇~三〇〇グラム食べる方法を、悪性貧血治療のために用いているほどです。

民間療法

塩ジャケの頭、骨をすべて小指くらいの大きさに切り、昆布巻きにします。それを、きざんだショウガと番茶を袋に入れたものと一緒に、トロ火で三時間煮こみます。さらに番茶の袋をとりだしてから味つけし、もう一度煮こみます。貧血症の補血にいちじるしい効果があるといわれます。

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