ウドの持つ、食材としての効果や効能

ア行の食材

▼強壮、鎮痛、解熱

「うど到来燗の熱すぎたしなめる」という句があります。よほどウドの好きな人に違いないでしょう。吉野塗りのお椀をとると、ぷーんとウドの香りが鼻をくすぐります。燗酒がすぎては、せっかのその香りが台なしになるというわけです。晩酌の光景が浮かんでくるような句です。野生のヤマウドは、とくに香りがよいです。

ウドとは

ウドはウコギ科の多年草です。アジアの原産で、日本の山野にも広く自生しています。複葉を互生し、地上部は有毛で背丈は二メートルにも及びます。「ウドの大木」といえば背ばかりでかくて役立たずの代名詞みたいにいわれますが、食用にするのは若芽で、大きく育った根は薬用にも供されます。決して役立たずではないのです。

貝原益軒の『大和本草』には「菜とすべし。初生の芽、茎は疎と為すに香気あり。佳品と為す」とあり、さらに「うどの実を圃にうえてよし、長じて後、冬より根の上にわら芥を深く掩えば白菜長く食すべし」と記してあります。つまり現在行なわれている軟化栽培の初歩的なことは、すでに江戸期にも実用化していたことでしょう。

ウドの効果、効能について

ウドは酢味噌和え、二杯酢、ゴマ和えによく、吸い物、汁物の椀づまにも合い、すき焼きや水炊きの具にもいいです。ウドの皮のキンピラも酒に合います。皮を細く千切りにし、水でさらしてアクをとってから胡麻油で炒めます。しんなりしたところでトウガラシを加え、砂糖と醤油で煮詰めるのです。「あたたかや煮上げて独活のやや甘く」。

漢方では、秋に根を掘って3日ほど日干しにしてから陰干しにしたものを使います。生薬名を「独活」といい、ジテルペンアルデヒドのほかアミノ酸、タンニンなどを含んでいます。関節痛やリウマチの鎮痛・鎮痙剤に用いる独活寄生湯や皮膚疾患に繁用される十味敗毒湯という処方は独活を配合したものです。

民間薬としても乾燥したウドを煎じて頭痛や歯痛に用います。また地方によっては、軽い打ち身のときなどウドの濃い煎じ液をタオルに浸して温湿布する療法もありました。ウドの根茎を細かく刻んで布袋に詰め、浴剤にするのもいいです。香りはよいし体が温まるので、冷え症や腰痛などに効くといいます。

日本での馴染み

ところで、ウドの主産地は意外にも東京都下や大阪、名古屋など大都会の近郊です。二五度くらいの温度に保った室で軟化栽培したものが多いです。以前はよく、縄のれんでもウドを食べさせてくれたことを思い出します。栽培地が近いので新鮮な香りと味が受け、サラリーマンにも人気がありました。「独活きざむ白指もまた香を放ち」いまどきの酒場では、注文する客が少なくなったといいます。

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