杜仲(とちゅう)の詳細な生薬解説

漢方事典

中国原産であるトチュウ科の落葉高木、トチュウ(㊥杜仲 Eucommia ulmoides)の樹皮を用います。日本産の和杜仲(わとちゅう)はニシキギ科のマサキ(Euonymus japonicus)であり、成分や薬効が異なり代用にはなりません。最近では長野県の伊那谷や広島県の因島などでトチュウの栽培が行われています。トチュウの葉や樹皮には2~7%のグッタペルカが含有され、このためトチュウの樹皮を剥ぐと、綿状の繊維の木綿があります。薬材を選ぶ際には折ると白糸を引くものが良品とされています。

グッタペルカというのは東南アジアで栽培されているアカテツ科のグッタペルカノキ(Palaquiumgutta)の木の幹から得られる乳液中のゴム質の成分と同じものです。グッタペルカは絶縁材料や歯科用セメントなどに用いられていますが、トチュウでは含有量が少なく経済性がありません。グッタペルカと薬効の関係は不明ですが、杜仲のエキスには降圧・利尿・中枢抑制作用などが知られています。漢方では肝腎を補い、腰や膝の筋骨を強め、流産を予防する効能があり、足腰の萎弱や酸痛、排尿困難、陰部湿疹、带下、不正子宮出血、高血圧などに用います。高齢などで足腰の衰えや性機能障害のみられるときには地黄・山薬などと配合します(右帰丸)。

リウマチや脚気などで下肢が麻痺して痛むときには防風・羗活などと配合します(大防風湯)。中国では杜仲をコウリャン酒に漬けた杜仲酒が強精剤として有名ですが、日本でも薬用養命酒の中に配合されています。近年、日本では、杜仲の葉を用いた杜仲茶が健康茶として市販されています。杜仲茶に含まれるイリドイド配糖体のゲニポシド酸は、副交感神経系に作用して血管を弛緩させ、血圧を低下させる作用があり、特定保健用食品として認められています。その他、杜仲葉には尿や便の排出を促進し、体内脂肪を低下させる働きも報告され、生活習慣病に対する予防・改善効果が期待されています。

処方用名

杜仲・厚杜仲・綿杜仲・炙杜仲・炒杜仲・焦杜仲・杜仲炭

基原

トチュウ科Eucommiaceaeのトチュウ

EucommiaulmoidesOliv.の樹皮。

性味

甘、温

帰経

肝・腎

効能と応用

方剤例

補肝腎・強筋骨

①青娥丸・金剛丸

肝腎不足の腰や膝がだるく無力・腰痛に、続断・狗脊・補骨脂・胡桃肉などと使用します。

②十補丸

腎陽虚のインポテンツ・勃起不全・頻尿などには、補骨脂・菟絲子・牛膝などと用います。

固経安胎

杜仲丸

肝腎不足による崩漏(不正性器出血)・習慣性流産や胎漏(妊娠中の性器出血)・胎動(妊娠中の下腹痛)に、続断・桑寄生・白朮などと使用します。

臨床使用の要点

杜仲は甘温で、肝腎を補益して筋骨を強め胎元を固め、補肝腎・強筋骨・固経安胎の効能をもちます。肝腎不足の腰膝痠痛乏力に対する要薬であり、崩漏・胎漏胎動・頻慣堕胎にも適し、肝腎虚寒の陽萎陰冷・尿頻余瀝にも用います。

参考

炮製したほうが補腎の効能が強くなります。

用量

9~15g、大最で30~60g、煎服。

使用上の注意

温補に働くので陰虛火旺には用いません。

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