健忘とイライラに加味帰脾湯(かみきひとう)

漢方事典

加味帰脾湯(かみきひとう)は健忘とイライラによく使われる漢方薬です。

処方のポイント

健忘、不眠、動悸に対応する帰脾湯に、血行を調える柴胡、熱を下げる山梔子を加えたもの。
帰脾湯の適応症状に比べて、よりイライラ感が強い症状に適応します。
甘苦味で、温服が効果的です。

加味帰脾湯が適応となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症。

漢方的適応病態

心脾両虚の肝火旺。
すなわち、疲れやすい、倦怠無力感、元気がない、息切れ、食欲不振、腹が張る、軟便や水様便などの脾気虚の症候と、健忘、頭がふらつく、ボーッとする、めまい感、動悸、眠りが浅い、多夢などの心血虚の症候がみられるもので、さらにイライラ、のぼせ、ほてり、胸苦しいなどの肝火旺の症候を伴うものです。

加味帰脾湯の組成や効能について

組成

黄耆3 人参3 白朮3 茯苓3 甘草1 遠志2 大棗2 当帰2 酸棗仁3 竜眼肉3 木香1 生姜1 柴胡3 山梔子2

効能

益氣健脾・養心補血・疏肝清熱

主治

心脾両虚・肝鬱化熱

解説

加味帰脾湯は「帰脾湯」に柴胡、山梔子を加えた処方です。

柴胡は疏肝理気と同時に肝熱を清することができ、山梔子は清熱除煩の作用があるので、心熱の傾向がある症状に適しています。
主に脾虛、謄、心神不安の病証を治療します。
例えば気血不足(心脾両虚)の病証に、肝鬱化火や心神不安の症状優鬱、胸脇脹満、イライラ、怒りっぽい、不眠頭痛、舌紅、脈がやや数など)をともなうときに用いることができます。

臨床応用

◇鬱証

慢性化した鬱証では、気血消耗の状態が多くみられます。
加味帰脾湯は気血を補益する作用の生薬と安神作用のある酸棗仁遠志、竜眼肉、および疏肝淸肝作用のある柴胡、山梔子が配合されているので、精神安定の効果が期待できるでしょう。
臨床では、鬱証のほかに自律神経失調症、婦人科の不定愁訴、更年期症候群の治療に用います。

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