苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)はお腹が冷えて痛むときに

漢方事典

苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)はお腹が冷えて痛むときによく使われます。

処方のポイント

消化器を温める乾姜、消化器周辺の水分流通をととのえ消化機能を亢進する白朮、茯苓、消化器を保護する甘草で構成されます。
消化器周辺が冷えて痛む、からだが重だるい等の症状に適応します。
甘辛味で、温服が効果的です。

苓姜朮甘湯が適応となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

腰に冷えと痛みがあって、尿量が多い次の諸症:腰痛、腰の冷え、夜尿症。

漢方的適応病態

下焦の寒湿。
すなわち、腰から下が冷えて痛む、甚だしければ水の中に坐っているような感じ、腰以下が重だるい、軽度の浮腫、よだれが多いなどの症候があり、食欲は普通で口渇はなく、尿量は多い場合に適応します。

苓姜朮甘湯の組成や効能について

組成

乾姜12 茯苓12 白朮6 炙甘草6

効能

温中散寒・健脾除湿

主治

寒湿停滞

◎温中散寒・健脾除湿:中焦脾胃を温補し、運化機能を強めて寒邪と温邪を除去する治法です。

解説

苓姜朮甘湯は温・燥の性質を利用し、寒邪と湿邪の侵入による「腎着病」を治療する処方で、別名を「腎著湯」(著=着)ともいいます。

◎腎着病:腎著病ともいいます。
着は停滞、附着を意味し、主に身体が重く、腰から下が冷えて痛むなどの症状をいいます。

適応症状

◇腰重・腰冷・腰痛

腎着病の主症状です。
湿邪はとくに下焦に停滞しやすく、腎の府である腰に停滞すると、腰が重い症状が現れます。
湿邪とともに寒邪も侵入しているので腰が冷えます。
湿邪と寒邪が停滞して、経脈の気血の流通を妨げると「不通則痛」で腰痛が悪化します。

◇身体が重い

寒湿の停滞によって、腰だけではなく、全身、特に下半身が重く感じます。

◇浮腫

寒湿が下肢の筋肉、皮膚に停滞すると浮腫が現れます。

◇舌苔白膩

寒湿の邪気の存在を示す舌象です。

◇脈沈

病位が深い(下焦)ことを示す脈象です。

乾姜は薬性が温で、陽気を通じさせ、寒邪を除去します。
温経作用を増強したい場合は炮姜を用います。

茯苓は下行する滲湿薬で体内の湿邪を尿に変えて除去します。
白朮と茯苓には健脾作用があり、水湿を運化する機能を増強できます。
燥湿作用の強い蒼朮を用いることもあります。

苓姜朮甘湯は腎に附着した寒湿の邪気を除去するために、中焦脾胃に作用する薬を多く配合しています。
これは五行学説の「脾土は腎水を克する」の意に沿っています。

臨床応用

◇腰痛

寒邪と湿邪による、冷え、重いなどの症状をともなう腰痛に用います。
坐骨神痛を治療することもできます。

◎四肢不温など(腎陽虛)をともなうとき+「牛車腎気丸」(温陽補腎・利水)

◇痺証

関節・筋肉の疼痛(痺訒)に併用することもできます。
しかし、寒湿は除去できますが、活血通絡の作用はありません。

◎疼抗が強いなど、瘀血痺証のとき+「疎経活血湯」(活血通絡・止痛)

◇浮腫

妊娠浮腫、原因不明の浮腫、腎性浮腫などの浮腫にも用いることができます。

◎利水作用を増強したいとき+「五苓散」(通陽利水)

◇帯下

健脾利湿薬が多いので、白色で、質が薄い寒湿带下に用います。

◎健脾作用を増強したいとき+「六君子湯」(健脾益気・化痰)

または+「参苓白朮散」(健脾滲湿)

◇下痢

乾姜の散寒、茯苓の利水、白朮の燥湿健脾作用があるので、慢性胃腸炎、過敏性大腸炎などによる下痢、食欲不振、悪心、苔白膩など脾虚湿滞の症状を治療することができます。

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