閉経後の気になる症状に効果的なセルフケアと漢方

55-65才

女性は閉経前後に女性ホルモンのエストロゲン分泌が急激に減少します。女性にとって重要な役割を担うエストロゲンの減少は、閉経世代の女性にさまざまな不調を引き起こします。

閉経後の腹痛を改善するセルフケアと漢方

閉経してしばらく経つはずなのに、未だに月経痛のような痛みや張りに悩まされている女性もいらっしゃることでしょう。
閉経後の急激なホルモンバランスの変化に身体が対応できず、月経痛や排卵痛のような不快な症状が現れることがあります。

東洋医学では「血(血液)」の巡りが悪化して「血瘀(けつお)」の状態になり、それによって「気(生命エネルギー)」が滞ることでお腹の痛みが生じると考えます。

閉経後の腹痛が起こりにくい体質にするためには、身体を温めて「冷え」を解消することが重要です。
入浴ではぬるめのお湯にゆったりと浸かって身体を芯から温めましょう。
入浴後も腹巻きなどを活用して、身体の熱を逃さないように工夫するとよいでしょう。

手足を温めても内側から冷えてしまっては意味がありません。
胃腸など、内臓を冷やさないことも大切です。飲み物は冷たいものではなく、常温もしくは温かいものを飲むよう心がけましょう。

根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
冷えが強い方の胃腸を温め、「血」の巡りを良くしてお腹の痛みや膨満感を和らげる働きのある「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」や、食欲がなく胃腸の弱い方の「気」を補って巡らせる「四君子湯(シクンシトウ)」も効果的です。

閉経後の頭痛を改善するセルフケアと漢方

閉経前後には女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。
不安定なホルモン分泌は、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスを崩して神経に炎症を起こしたり、脳内血管が拡張して頭痛を起こすことがあります。
特に月経関連頭痛がある女性は、閉経前後に頭痛の悪化が見られることがあります。

頭痛には「偏頭痛」と「緊張型頭痛」の2つのタイプがあります。

偏頭痛とは脈拍に合わせてズキズキするような痛みが頭の片側に出ることが多い頭痛で、吐き気を伴うこともあります。

このタイプの頭痛は、収縮した血管が次第に拡張していく際に症状が出ることが多いので、血管収縮に関係するアルコールやカフェインの摂取に注意が必要です。
これらは血管を収縮させ、頭痛をより悪化させることがあるため、頭痛の症状が出ている時には摂取を避けましょう。

緊張型頭痛とは頭全体の締め付けられるような痛みがでて目や肩の痛みを伴うことが多いタイプの頭痛です。

目や肩の疲労やストレスが原因となることが多いため、長時間のPC作業やデスクワークで慢性化したり、症状が悪化することがあります。
長時間のデスクワークの際は、できるだけ同じ姿勢を取らないよう心がけ、適度な運動を取り入れて眼精疲労や筋肉疲労を溜め込まないよう工夫しましょう。

漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
冷えが強く、発作性の激しい偏頭痛とともに吐き気のある方の身体を温めて頭痛を和らげる効果のある「呉茱萸湯(ゴシュユトウ」や、「血」の巡りを良くして頭痛や肩こりの症状を緩和する「釣藤散(チョウトウサン)」も効果的です。

閉経後の関節痛を改善するセルフケアと漢方

閉経後には女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。
このエストロゲンは免疫系に作用して炎症を抑えたり、鎮めたりする効果があるため、エストロゲンの減少によって関節に炎症が起こることがあります。

東洋医学では、水分代謝異常による「水毒」、冷えによる「寒証」、代謝異常による「熱症」、血の巡りの悪化による「血瘀」などになることで関節の痛みを生じると考えます。

こうした原因によって起こる関節痛を解消するためには、関節への負担を減らす目的での体重コントロールと、関節や骨を支える筋肉の筋力アップが必要です。
太り過ぎは腰や膝への負担を増やして関節が炎症を起こすもととなります。
体重をオーバーしている場合は、筋肉量を増やすための運動をしながら、ダイエットをして体重を減らしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬も良いでしょう。
身体を温めて関節痛や神経痛による腫れや痛みの症状を和らげる「桂枝加苓朮附湯(ケイシカリョウジュツブトウ)」や、むくみが強く水太り傾向の方には、身体の水分循環を改善して疲労や痛みを緩和する「防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)」がオススメです。

閉経後の高血圧を改善するセルフケアと漢方

女性は閉経とともに女性ホルモンのエストロゲン分泌が急激に減少します。
そのため体内での男性ホルモンの割合が増加、交感神経の働きが活発化して血圧上昇を促す「レニン」というホルモンがたくさん分泌されます。

レニンの影響に加えて、代謝の低下による肥満や運動不足なども加わり、閉経後の女性の高血圧リスクは高まると考えられます。

閉経後の高血圧を改善するためには、食生活を初めとした生活習慣の見直しが必要です。
塩分の多い食事は身体に余分な水分を増やして、血圧を上昇させます。食生活では、塩分(ナトリウム)を控えましょう。

飲酒、喫煙も高血圧に大きく影響します。
お酒に含まれるアルコールは血管を収縮させて、高血圧のリスクを上昇させます。
喫煙も同様に血管を収縮させる作用があり、動脈硬化を促進することで血圧上昇の要因となることがあります。
高血圧改善のために、どちらも控えるよう努めましょう。

根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
のぼせや肩こりなどの随伴症状を和らげながら血圧を降下させる「七物降下湯(シチモツコウカトウ)」や、「血」の滞りである「血瘀」を改善する「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」などが効果的です。

閉経後の糖尿病を改善するセルフケアと漢方

女性ホルモンであるエストロゲンの働きはさまざまですが、その中には脂質代謝を安定させて血糖値を調節する働きも含まれます。
そのため急激に女性ホルモン分泌が減少する閉経前後は、血糖値のコントロールが難しくなります。

東洋医学では、糖尿病のことを「消渇(しょうかつ)」といい、「消」は多く食べても痩せてくる、「喝」は口が乾くことを示します。
これは多飲、多食、多尿といった糖尿病の症状を表しています。

血糖コントロールが難しくなる閉経後に糖尿病を予防するためには、適切なカロリーを計算した上での食事療法が必要です。
まず、カロリーは日常生活に必要な範囲に制限して、ビタミンやミネラルなどの栄養素を摂取できるよう工夫した献立をたてましょう。
必要な摂取カロリーの目安はおよそ標準体重(kg)×30kcalといわれています。適正カロリーを計算する際の参考にしてみてください。

間食をどうしてもしたくなった時にも工夫が必要です。
オススメは糖代謝改善や血圧上昇、悪玉コレステロール増加を抑える働きのある「カカオポリフェノール」を含むダークチョコレート(カカオ70%以上)やココアなどです。
甘いものが食べたい時はこれらを少量取り入れてみてください。

漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
腹部の張りや便秘を改善して体重の増加や脂肪の蓄積を防ぐ効果のある「大柴胡湯(ダイサイコトウ)」や「水(水分)」の滞りを解消して「水毒」を解消する「五苓散(ゴレイサン)」も効果的です。

閉経後の認知症を改善するセルフケアと漢方

女性ホルモンのエストロゲンには、脳神経の修復作用もあるといわれています。
エストロゲンの減少は脳神経の修復を妨げ、認知機能にも影響することがあります。

東洋医学では、老化やストレスなどによって「血」の巡りが悪化し、脳に十分な栄養や血液が行き渡らなくなると考え、それが脳や精神の働きをコントロールする「心」の衰えにつながっていると考えます。

閉経後の認知症を防ぐためにできることとして、今注目されているのが「ながら作業」です。
2つの作業を同時に行うことで、脳の血流をアップさせ前頭葉を活性化させるといわれています。
認知症予防のトレーニングの一環として、日常で取り入れてみましょう。

聴力や視力の低下も、認知症のリスクになるといわれています。
目が見えづらくなって新聞や本を読まなくなる、耳が聞こえづらいことで会話に参加しづらくなる、などは社会参加を妨げる要因となり得ます。

認知症予防や症状の悪化を防ぐためにも、補聴器やメガネなどを活用して積極的に社会と関わりを持ち続けることが大切です。

根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。
認知機能の衰えとともに神経の高ぶりを沈静化させる働きのある「抑肝散(ヨクカンサン)」や、脳の血流改善効果とともにのぼせや頭重感を解消する「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」などがオススメです。

まとめ

閉経後は女性ホルモンの急激な減少によってさまざまな不調が出やすいといわれています。
閉経後の不調にお悩みの方は、ここで紹介したセルフケアを参考に不調の改善に取り組んでみてくださいね。

また、閉経後の不調に漢方薬が効果を発揮した例もあります。
セルフケアを試しても症状が改善しない場合は、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

関連記事

おすすめ記事