升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)は頭痛や身体痛、発疹によく使われます

漢方事典

「升麻葛根湯は頭痛や身体痛、発疹によく使われます」

処方のポイント

感冒中期や初期の麻疹に対応する升麻を中心に、発汗を助ける葛根、からだの潤いを保ち熱を下げる芍薬、消化器を保護し賦活する生姜甘草で構成されます。感冒発熱による頭痛等に適応します。十分にできらない発疹や風疹、アトピー性皮膚炎にも応用されます。甘辛味です。

升麻葛根湯が適応となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

感冒の初期、皮膚炎。

漢方的適応病態

麻疹(はしか)の初期あるいは類似状態、あるいは麻疹の発疹が十分に現れないもの。すなわち、目の充血、流涙、くしゃみ、はなみず、咳嗽、軽度の悪寒あるいは熱感、発熱、下痢などを伴うことが多いです。古質は紅です。

升麻葛根湯の組成や効能について

組成

升麻3葛根9赤芍薬4生甘草3

効能

辛凉解肌・解毒透疹

主治

外感風熱・発疹不透

◎解肌:皮毛、肌肉に侵入した邪気を解除する治法です。

◎解毒透疹:熱毒を体外へ追い出し、疹毒などの原因を順調に発散できるようにする治法です。

◎発疹不透:麻疹初期における、発疹が遅かったり、すっきり出ない状態をいいます。

解説

升麻葛根湯は発疹疾患の初期に用いる処方です。主薬である升麻と葛根の薬性は寒凉に属し、侵入した風熱の邪気を解除する効能をもっています。

適応症状

◇発熱・悪風・頭痛・身痛

外邪を受けた表証の代表的な症状である侵入してきた邪気が風熱であるときは、悪風より発熱症状が顕著となります。頭痛、身痛は邪気の侵入によって体表の経脈が不通となったためにおこる「不通則痛」の症状です。

◇目赤

眼球の充血症状で、熱毒が頭部。顔面を直撃することによって生じます。

◇口渇

熱邪が津液を損傷することによっておこる症状です。

◇咳嗽・嚔

肺気不宣による症状です。病変が体表のほかに、皮毛を主る肺にも存在することを示しています。嚏はクシャミのことです。

◇発疹

邪気が表に鬱滞して、発散できないためにおきる症状です。発疹症状は微弱であるがすっきり出ません。

◇舌紅・苔乾

舌紅は邪気の性質が熱であることを示し、乾燥した舌苔は体内の津液が少ないことを示します。

◇脈浮数

浮脈は病位が体表にあることを示し、数脈は熱毒の存在を示します。

升麻と葛根はともに主薬で、薬性の辛涼より体表の熱邪を清し、発疹をすっきりと出しつくます。葛根の解表作用は升麻より強く、生津止渇の作用も兼ね備えています。解毒透疹の作用は葛根より升麻の方が優れています。赤芍薬は血分薬で、凉血作用によって血絡の熱毒を清し、活血作用によって血瘀の発生を予防します。発疹の初期は発散に重点があるため、酸味収斂の白芍薬より、発散作用のある赤芍薬を用いる方がよいです。生甘草は諸薬を調和するほか、解毒の作用も期待できます。

臨床応用

◇急性発疹疾患

升麻葛根湯は寒凉性の薬物で構成されており、風熱、熱毒の邪気によって生じた発疹疾患の初期(麻疹、三日麻疹など)に用います。特に透疹作用があるので発疹がすっきりと出ないときに用いられます。

◎熱毒が亢進しているとき+「黄連解毒湯」(清熱解毒)

◎または+金銀花・大青葉・連翹(清熱解毒)

◎咽が腫れて痛むとき+r銀翹散」(辛凉利咽)

◎または+「小柴胡湯加桔梗石膏」(清熱利咽)

◎または+牛蒡子・桔梗玄参(消腫利咽・解毒)

◎皮膚が鵫紅して掻痒感が強いとき+「柴胡清肝湯」(清熱解毒・散風止痛)

中国では、水疱瘡、带状疱疹などの疾患にも用いられ、本処方に紫根(凉血解鼃)を配合することが多いです。

◇流行性感冒・流行性結膜炎・扁桃腺炎

葛根と升麻の辛凉解表作用を利用して、外感風熱による発熱、頭痛、目赤、口渇、咳嗽などの表証の治療に用います。

◇下痢

葛根と升麻はともに脾胃に帰経し、清熱止痢作用も兼ね備えているので、表証をともなう熱性の下痢に利用することができます。下痢、腹痛などの症状には、赤芍薬より、緩急止痛、斂陰の白芍薬を選ぶほうがよいです。

注意事項

①升麻葛根湯は昇散作用が強いので、長期使用すると虚の状態を招く危険があります。発疹がすでに透発した場合は用いてはなりません。

②熱毒がすでに深部に入り込んだ(疹毒内陥)場合は、本処方では作用が弱いため、清熱解毒剤に変えなければなりません。

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